ごあいさつ

福岡大学医学部 麻酔科学教室 教授
山浦 健

 当教室は福岡大学に医学部が新設された昭和47年に檀 健次郎 初代教授により開講され、比嘉和夫 第二代教授に引き継がれた後、平成26年度より山浦が担当しております。
 超高齢社会に伴い手術医療の役割はますます増加しています。手術医療はいわゆる“計画された外傷”により治療を行うことが基本です。麻酔科学はこの“計画された外傷”に対して痛みを取り除くこと、侵襲による生体内の大きな乱れから身を守ることを基本としています。麻酔は神経に作用して痛みを取り除くだけでなく、他の大切な作用も麻痺させてしまいます。そのために、麻酔によって本来自分で身を守るためにそなえられた様々な機能や、呼吸循環という命を維持するための基本的な機能も失われてしまいます。このため、麻酔科医は患者さんが麻酔で眠っている間も患者さんのそばで片時も離れずに患者さんの代わりに呼吸、循環を整え、危険から身を守る役割を担っています。
 現在の高度な手術医療は低侵襲化とともに高度先進技術を必要としますが、一方で危険も伴います。これには多職種の専門家が英知と高度な専門技術を結集して取り組む必要があり、チーム医療が重要です。しかもこの手術医療の基本にあるのは患者安全です。この安全で高度な手術医療の基本であるチーム医療の要として麻酔科医は重要な役割を果たす必要があります。麻酔科医は痛みを取り除くこと、呼吸・循環・体液代謝という全身管理を行うとともに、手術医療の全体を見渡す能力とそれをまとめる社会性、リーダーシップが求められます。このような人材を育成すべく卒前・卒後教育に取り組んでおります。
 当教室では手術時の痛みを取るだけではなく、その他の痛みに対しても先進的かつ積極的に診療しています。手術後の痛み(急性痛)に対しては術後痛チームを結成して精力的に取り組み、多くの患者さんが手術後の痛みから解放されています。また、慢性の痛みに対してはペインクリニック専門医が、がん性疼痛を含めた緩和医療においては症状緩和チームの一員として麻酔科医が、あらゆる痛みに対して専門的な立場から日々取り組んでおります。
 これからも安全で高度な手術医療の提供および痛みからの解放を目標として、臨床・教育・研究に精力的に取り組みことで社会全体貢献を果たしていきたいと思っております。