2019年6月29日

非オピオイド薬による小児の術後鎮痛について

2019年6月29日 抄読会 鳥井ヶ原千明 

今回抄読会発表の機会をいただいたので、普段から個人的に興味がある小児の鎮痛、特に非オピオイド薬による鎮痛について調べ、以下の論文を見つけたので読んでみました。
Evidence for the Efficacy of Systemic Opioid-Sparing Analgesics in Pediatric Surgical Populations: A Systematic Review
Zhu A, Benzon HA, Anderson TA.
Anesth Analg 2017; 125: 1569-87.


【背景】
・成人では、術後早期のオピオイドの処方は、慢性的なオピオイド使用に関連すると言われている。
・オピオイド未経験の患者のうち最大8.2%で 、術後に慢性的なオピオイド使用者となる。
・小児では、慢性的なオピオイド使用についての報告はないが、成人と同様にオピオイドの使用は制限するべきと考えられる。
・オピオイドの使用量を控える術後鎮痛の研究は成人では多いが、小児では少ない。
・今回の小児の術後鎮痛における14の非オピオイド鎮痛薬の全身投与の論文について、系統的にレビューを行った。

【方法】
・PubMed, MEDLINE, EMBASE, Cochrane Central Registerで検索し、検索語はpediatric postoperative pain、acute pediatric pain、pediatric analgesics。
・調べた薬剤はアセトアミノフェン、NSAIDs、デキサメタゾン、ケタミン、ガバペンチン、クロニジン、デクスメデトミヂン、デクストロメトルファン、リドカイン、アマンタジン、プレガバリン、エスモロール、カフェイン。
・標準的な麻酔下に外科手術を受けた18歳以下の患者を対象として、術前もしくは周術期に単回かつ全身的に非オピオイド薬を投与した前向き無作為試験を抽出した。
・主要評価項目は、術後の鎮痛薬の必要性とペインスコア、副次評価項目は、鎮痛薬初回投与までの時間、術後悪心・嘔吐、鎮静度、呼吸抑制、せん妄、精神異常作用、血行動態の変化とした。

【結果】
・アセトアミノフェンは単回投与であっても、術前、術中、投薬方法に関わらず、十分な量を投薬した場合に、様々な術式で術後鎮痛の効果があった。経直腸投与では少なくとも40 ㎎/㎏で治療レベルに達し、静脈内投与では15〜30 ㎎/㎏で効果を発揮することが分かった。
・NSAIDsの種類に関わらず、様々な手術でオピオイドの使用量が減少した。
・デキサメタゾンは術中の単回使用で、扁桃摘出術の鎮痛に有効だった。
・ケタミンの術中使用は、外来の小手術で、術後早期の痛みとオピオイド使用量を減少した。

【考察】
・薬物の循環速度やクリアランス時間は児の年齢によって違うため、オピオイドに関連する重大な副作用を考えると、小児においてもオピオイドを減量できる鎮痛方法を研究することは必要である。
・今回のレビューから、アセトアミノフェン、NSAIDS、デキサメタゾン、ケタミン、
クロニジン、デクスメデトミジンは術後痛とオピオイド処方量を減らすと考えられる。
・ガバペンチン、マグネシウム、デクストロメトルフェン、リドカイン、アマンタジン、
プレガバリン、エスモロール、カフェインに関しては結論を出すには限界があった。


今回の論文を読んで、日本ではアセトアミノフェン投与量が少なめであり、より確実な鎮痛を得るためにも投与量の見直しが必要であり、術式に応じて鎮痛薬を使い分ける事でより高い術後鎮痛効果を得られるのではないか、と思いました。